「いい家」づくりの思い
一冊の本
一冊の本に巡り合うことができました。
『「いい家」が欲しい。』初版。
それは、外断熱の先駆者である松井修三氏の著書でした。
初めて手にしたその日、夜が更けるのも忘れ、その一冊の世界に没入しました。
読み進めるうちに、松井さんの声が聞こえてくるようでした。
「私もそうなのですが、造り手のあなたには、過去に大きな負い目はありませんか。」
「いい家でないものを造ってきたという負い目です。」
その言葉が、強く心に突き刺さりました。
長い間、私は在来工法の慣習を疑うことなく、家づくりを続けてきました。
そんな私は平成6年、外断熱という工法を知り、その可能性に強く魅了を感じました。
しかし、長年培ってきた慣習やしがらみを断ち切ることができなかった。
そんな私は断熱や気密に曖昧を残し、従来のままに家づくりを続けていたのです。
よりよい家づくりの可能性を知りながら、なぜ一歩を踏み出せなかったのか。
その間に、お客様にお届けできたはずの家があったのではないか。
松井氏の言葉は、造り手としての自分の心に深く問いかけてきました。
自責の念に、涙が止まらない夜を過ごしました。
あの夜、自分自身に問い続けたことが、今の私の家づくりの原点になっています。
