
私は大工の父のもとで修業をした昔ながらの職人です。当時は10年くらい下積みをするのが当たり前でした。いまはその半分の5年くらいで一人前と言われますが、じつはそこからが勝負。自分は一人前だと思ってしまう人と、もっと技を追求したいと思う人とで、同じ「大工」という名前がついても、できる仕事の中身が全く変わってしまいます。マルカの家を建てられるのはもちろん、"本物"の大工の方です。
どんな家でも、仕上がりはお客様に「きれい」と言っていただけますが、私はマルカの家は、建築の真っ最中を見ていただきたいですね。使っている木の量、質、そして技術。どこを見られても胸を張れるし、お客様もきっと鼻が高いと思います。お客様に見られて困るようなものは、マルカの家のどこをとっても存在していません。
大工たちは私の職人気質をよく呑みこんで、きびきび仕事をしてくれるので、あまり口やかましくいうこともないのですが、ひとつだけいつも言う言葉があります。それは、あと1日か2日で仕上がるという時に「もうひとふんばりせえ!」ということ。ゴールが見えると人間、どうしても焦ります。そこで踏みとどまって、もう一度振り返ると、ダメなところが見えるんです。はやる心を抑えて、最後はじっくりと。これが鉄則。だって、変なものをつくったら、二度とそのお家の前を通れなくなってしまうじゃないですか!
今までは大工だけを見ていましたが、現在は工事部長としてすべての現場を見るようになりました。責任は重大ですが、それだけ気合も入ります。すべての職人を束ねる立場としてこれからもがんばります。

私事になりますが、最近古い家を新しく建て替えたんです。工法はもちろんマルカの家の工法。うちには年寄りもいるので、家中の温度差がない家をつくるのが何よりの親孝行だと思って、頑張りました。
ところが、うちの親が「何とか母屋の一部だけでも残してくれんか」と言うんです。若い時には苦労もし、お前たちもここで育てた。この家はそのことをよく知っている。それが面影もなくなるのは辛い、というわけです。
私はハッとしました。《ほんまにそうやなあ、家には言葉にできない、いろいろなものが詰まっている。わかっていたつもりで、俺はまだまだわかっていなかった》。そんな風に感じ、気づかせてくれた親に、感謝の気持ちがわいてきました。
近藤社長が、マルカの家づくりの指針をはっきりと打ち出されて以来、私も設備部長として企画の段階からすべてのプロセスに関わらせていただくようになりました。おかげさまで、息子が家業を継承してくれつつあるので、私の方はこれ幸いと、マルカにかなり深く足を突っ込んでいる状態です(笑)
多くのお客様にお会いし、家づくりへの思いや、家族の歴史に触れさせていただくたびに、大きな感動を味わいます。お客様の様々なご希望を、ただ額面どおりに受け取るのではなく、そこに秘められた思い、願い、夢といった目に見えないものを、できるだけ察して、あたたかく、心のこもった家づくりができるよう、精進していきたいと思います。まだ若い息子にも、その姿勢はぜひ、受け継いでほしいと願っています。